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コンセプトは「ただ、正直であること」〜リブランディングレポート前編〜

2025.11.04

リリース

2025年11月、サラダボウルはロゴマークやWebサイトをはじめとしたビジュアルアイデンティティを刷新し、リブランディングを実施しました。そのパートナーに選んだのは、Soup Stock Tokyoを暮らしに根付かせ、現在はクリエイティブカンパニーとして知られる株式会社スマイルズ。同社創業者の遠山正道さんと、サラダボウルの田中がプロジェクトを振り返ります。

遠山正道(とおやままさみち)/株式会社スマイルズ創業者

1962年東京生まれ。三菱商事を経て2000年株式会社スマイルズを設立。「Soup Stock Tokyo」「PASS THE BATON」「刷毛じょうゆ 海苔弁山登り」などを展開。現在は株式会社The Chain Museumの代表として「The Chain Museum」「Art Sticker」などの事業を運営するほか、「新種のimmigrationsB」というポエトリーバンドでは万博やフェスなどに出演し表現活動を活発に行っている。

家族がつないだ不思議な出会い

田中:今日はよろしくお願いします。はじめましてからそんなに時間をかけず、プロジェクトの推進から会社のリブランディングまで、遠山さんとご一緒できてホントにうれしいです。

遠山:つないでくださったのは田中さんのご家族でしたね。美大の卒業制作展に遊びに行ったとき、印象に残った作品の作者さんにお声がけをしたら、それが実は田中さんの娘さんで。

「もしよかったら」と後日私のギャラリーにお誘いしたときに、奥さんと田中さんが一緒にいらっしゃったのが最初でした。いま思うとすごい偶然!

田中:遠山さんのことは存じていたんですが、むしろ妻の方が遠山さんのSNSをフォローしていて、僕よりもよく知っていました(笑)。娘が遠山さんからギャラリーに誘われて、妻も一緒に行きたいとなり、ちょうど出かけるところだったので運転手の僕も一緒にギャラリーに行くことになったんです。

娘のために行ったはずなのに、ギャラリー併設のスペースで台湾料理をツマミながら、遠山さんからたくさん質問を受けました。サラダボウルがやっている農業のこと、経営観、これからの展望など。遠山さんにこんなに興味をもってもらうなんて思ってもいませんでした(笑)。ちょうど「おいしいねプロジェクト」が本格的に動き出す前で、振り返るとこれ以上ないタイミングでの出会いでしたね。

遠山:事業規模の拡大やスピード感、人員の増加など、いろんなことが一気に進んでるとおっしゃってましたね。

田中:「おいしいねプロジェクト」について補足すると、埼玉県白岡市の20ヘクタールという広大な耕作放棄地を整備して、イチゴ農園や直売所、カフェなんかを運営しながら、地域の魅力を高めていこうという取り組みです。単にイチゴを育てる場所じゃなくて、地域の中と外から人が集まり、新しい価値が生まれる“ひらかれた場所”にしたいと思っています。

私たちは数ヘクタール規模の農場を運営してきました。でも今回は自治体から「30ヘクタールの耕作放棄地をどうにかしてほしい」と相談を受けて……これまでとはスケールがまったく違う!

話が進むうちに、これはもう自分たちだけで農場をつくるっていう話じゃないなと感じて。せっかくやるなら地域全体を巻きこむ新しい挑戦にしたいと思い、遠山さんに相談させてもらったんです。

遠山:スマイルズにはSoup Stock Tokyo(※現在は分社)など自社の事業運営に加えて、これまで多くの企業や行政の課題解決を支援してきた経験があります。だからこそただのアドバイザーとしてではなく、現実的で具体的な提案ができると考え、まずはクリエイティブの部分からご一緒させてもらいました。

田中:「おいしいねプロジェクト」のロゴ、あれ遠山さんの手書きですよね!社員の間でもすごく評判がよくて、待ち受けにしてる人も多いんですよ。

遠山:「提出締め切りは◎◎日までです!」ってプロジェクトメンバーにしっかり言われて(笑)。現場感があってすっごく楽しかったです。

やりとりを重ねていくなかで、サラダボウルさんが農業を生産の場じゃなくて、人と人とのつながりを生み出す場として考えている姿勢にすごく共感したんです。同時にスマイルズだったらこんなところに知見を活かせそうだと感じるポイントもあったので、コーポレート全体のリブランディングまでお手伝いさせていただくことになりました。

「どっちもサラダボウル」ってすごくいい

遠山:リブランディングの大きなテーマに《堂々と、二律背反》という言葉を選んだのは、多様性や個性を象徴するインパクトがほしかったから。社員の皆さんへのインタビュー、ワークショップを経て、一人ひとりの視点をつなぐキーワードとしてうちのメンバーが提案させてもらいました。

同じ農作業を「大変だ」と感じる人もいれば、「これくらい普通でしょ」と思う人もいる。体力勝負の現場もあれば、頭を使って戦略を考える仕事もある。立場や経験によって見える景色は違う──そんな当たり前を、社内外にきちんと伝えようという方向にまとめてみました。手前味噌ながら、いいコンセプトだと思います。

田中:農業法人である私たちは、常に現場から新しい発想が生まれます。その中には「やると苦しいけど、本当はこれをやりたい」というジレンマも多い。けれども「苦しいからやらない」という選択はしたくありません。

むしろ、苦しかろうがなんだろうが、「やりたいからやる」という気持ちが強いんです。その矛盾を前向きに表現した言葉が《二律背反》──ピッタリでした。

遠山:いいことばかりを並べたくなる気持ちはあります。でもそれだけじゃ本当の姿は伝わらない。だからこそ一見ネガティブに思える部分も隠さず出すようにしました。

相反するものを受け入れ、それを強みに変える姿勢こそがこれからのサラダボウルを動かす原動力になると考えたんです。どちらもあってこその、サラダボウルなんです。

それってすごく正直ですよね。物事を一方向からじゃなく、ちゃんと両面から見せる。そのほうが社員にとっても、これから入ってくる人にとってもリアルで共感しやすいと思います。

田中:まさにそのとおり!この考え方に共感してくれる人に、一人でも多く会いたいです。

相反するものの間に、叶う可能性がある

遠山:サラダボウルの考え方やスタンスって、従来まで当たり前とされていた農業のあり方を軽く超えてますよね。畑やハウスにもお邪魔して説明をいただきましたが、最新の装置が圧倒的な規模感で並んでいて、来たるべき農業の未来を感じました。

田中:養分や水分を吸収する根などの地下部や二酸化炭素を吸収する葉などの地上部などの生育環境をどう制御すれば収穫量が増えるのか、作物の品質を上げられるのか。そういうのって全部、因果がある、データや理論に基づく科学の世界なんです。光の量や強度、温度や湿度、養水分の供給量を統合的に制御できるのは、まさに科学とテクノロジーの積み重ねです。

植物の持つポテンシャルを科学的アプローチから最大限引き出し、社会的要請、つまりは社会のニーズに応えるカタチで農業を事業にしていく。それがサラダボウルの目指す姿です。

遠山:社会的ニーズを有する地域の人や行政、企業、いろんな人が関わり合いながら新しい価値をつくるっていうプロセスがすごく面白い。

「おいしいねプロジェクト」なんてまさにその象徴じゃないですか? 6次産業化を見据えた「農業の新しい可能性」と「地域と一緒に育つブランドづくり」がうまく掛け合わさっている。もはや農地は、作物を育てるだけじゃなく、未来を育てる場所になってると思います。

たくさんの人に、大事なことを、しっかり渡す

遠山:挑戦はこれからも続いていきますね。そんなときにぜひ伝えたい言葉があるんです。事業でもプロジェクトでも、「立ち上げた人が最後まで関わらなきゃ!」っていう風潮あるじゃないですか。でもね、そんなときこそ「まるわたし」してほしいんです。

田中:まるわたし?

遠山:そう。丸投げじゃなくてまるわたし。プロジェクトが動き出したら、細かいところまでは口を出さずに、全体の方向性だけ見てあとは信頼して任せる。ほら、野球チームのオーナーが選手のプレーにいちいち口出すと、ちょっとイヤじゃないですか。

私はそうはなりたくないから、まるわたし。一度任せたら、もう信頼して任せる。

田中:創業以来、創業者として成長を牽引してきましたが4年ほど前からサラダボウルグループ全体で「次のサラダボウルらしさとは何か」を真剣に考えはじめたことが、今回のリブランディングプロジェクトの出発点になりました。

理念もノウハウも想いもまるごと次の世代へ託し、サラダボウルらしい価値を共有していく──いいですね!まるわたし!たくさんの人が関わり、たくさんの人が成長していくことで、社会に貢献できる農業法人としてさらなる進化を目指します。

とてもいい時間でした。ありがとうございました!

コンセプトは「ただ、正直であること」〜リブランディングレポート後編〜